天童荘

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旬の逸品

青かいしき

立秋。処暑。清夏
料理の盛り付けに使われる葉や植物を指す「かいしき」漢字では「皆敷」「掻敷」「苴」などの文字を当てます。
料理の飾りにして季節感を演出したり、彩りをプラスしたりする効果があり、冷蔵庫等の保存設備がない時代には、防腐や防臭の作用も兼ねていました。 特に夏は、木や野菜の葉も太陽を浴び、緑の色も濃さを増します。 器に敷いて、緑の濃淡で料理に彩りを添える葉を「青かいしき」といいます。
今月はこの「青かいしき」の蓮の葉と冬瓜を器に使ったお献立をご用意致しました。
まず蓮根の葉。大きなすり鉢状になっているため、器にするのはもちろん、逆さにして鉢盛り料理の蓋として用いたりしますが、今月は八寸を蓮の葉で包み、飾り結びの白い水引を解くと、中には雪氷の上に季節の旬菜が盛り込まれています。
八月はお盆もございますので、水を綺麗に弾く姿が涼しげで、夏ならではの風情をお楽しみいただけます。
次に冬瓜。向付としてご用意致しました夏の本鮪のそぎ造りを小ぶりな冬瓜をまるまる一つ器として使い盛り込みました。
たった1枚の葉が季節を彩り、清潔感と清涼感を与える......
まさに季節感を大切にする、日本料理の真髄でございます。
このような習慣のない国では「なんで、食べられない物を器に盛るの?」と思われることもありますが、我々日本人にとっては、庭木や部屋を飾る生け花と同じように季節感を味わうのに大切なものなのでございます。
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