天童荘

天童荘

旬の逸品

粽と柏餅

立夏。小満。山笑ふ。
春の山は笑う。とても大好きな春の季語でございます。
木の芽や木の花に包まれる春の山を、朗らかに笑う人の姿になぞらえて『山笑う』表現したもので、周りの山々に目をやれば、まさに緑がモコモコ、ニコニコ、生命力溢れる爽やかな季節の到来です。
これから季節が移ると、夏の山を『山滴る』、秋の山を『山粧ふ』、冬の山を『山眠る』などの季語が続きます。
そして55日は端午の節句です。
端午の節句には、粽や柏餅を食べて男の子の健やかな成長を願います。 粽を食べて邪気を払い、無病息災を願うのが習わしです。
今月の御懐石は、目に青葉よろしく鯛粽寿司と山菜おこわ柏包みで始まります。
鯛のお寿司は、鯛の身を薄く切り、寿司飯には木の芽を細かく切って入れます。 これを形にし、笹の葉でくるっと巻いて、さらにこれをい草で巻いて出来上がりです。
これがなかなか難しく、熟練を要します。お寿司には笹の香りがほのかに移り、端午の節句にふさわしい、清浄な逸品でございます。
また「春は苦みを盛れ」と伝えられるように、山菜のほろ苦さはこの季節ならではの旬の味です。
柏餅のお餅を春の山菜おこわに代えて、大地の息吹を感じる柏餅に致しました。 風薫る五月。端午の節句と美しい新緑の季節を楽しむ御懐石でございます。
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